アリスのままで/私が私じゃなくなったら、最後に何が残るのか。若年性アルツハイマーと戦う言語学者の物語。

51.still alice,アリスのままで

良かったよ、とっても。ワタシは自分で認める超感情移入型なので、コレを見た後どっぷり暗い感情に浸ったわけですよ。

トイレの場所までわからなくなったら・・・とか、親のことも想い出も忘れちゃったら・・・とかどんどん暗い方向に行っちゃって、しまいにはこんなのまで見て勝手に泣いてた(誰か止めて~)。

この記事もものすごい暗ーい出だしで書いてて、そこでハッと気付いた。内容はさておき、もう人生面白おかしく生きようと決めたのに、こんな暗くちゃいかーん!

ということで、いつもの通りにいきます。

大学で言語学を教えるアリスは、ある日スピーチで話す単語を忘れてしまう。単なる物忘れだと思ったはずが、徐々に言葉以外のものも忘れるように。何かが起きている・・・。そんな不安のまま診断に向かうと、医者から若年性アルツハイマーだと告げられる。※若年性アルツハイマーとは64歳以下で発症し、詳しい原因も治療法も見つかっていない病気。初期の症状に気付きにくく、発症率は低いのに一度発症するとものすごい速さで進行する。

Still Alice/2014年/101分/アメリカ/監督:リチャード・グラツァー
原作:アリスのままで/予告:アリスのままで

自分がアリスだったら、同じ事をするかもしれない

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大事なことを忘れないようにと、携帯にメモした質問事項。これを毎日答えることで記憶を確認したアリス。

娘の名前、自分の誕生日、住所。

けれどアルツハイマー病患者の施設を見て、自分の行く末にショックを受けた彼女。眠るたびに次はどの記憶がこぼれていくのか、明日は何が残っているのか。そう怯え今まだ記憶のある内にと、未来の自分へメッセージ・ビデオを残します。


<アリスからアリスへ向けたメッセージ>

あなたが質問に答えられなくなったら、次の段階に進むべき時よ

寝室にランプの載った棚があるわ。

一番上の引出しに錠剤の入ったビンがある。”水で全部飲め”と書いてあるの。

たくさん入ってるけど、必ず全部飲むのよ。いい?そしたら横になって眠る。

絶対に誰にも言わないで


そして、携帯のメモに”質問に1つも答えられなくなったら、”蝶”というフォルダを開くこと”と残す。※蝶はアリスの母の形見。

面白おかしく生きるなんて言っておきながら矛盾しちゃうけど、絶対恐怖でこんな行動取っちゃうよ。自分でいられなくなる恐怖と、他人に迷惑をかける恐怖。

自分の家のトイレがわからなくて漏らしたり、娘の顔まで忘れたり、最後には喋ることも出来なくなっちゃうんだもん。

この映画はアルツハイマーの初期症状がメインなので、中期と言われるような妄想や徘徊、人格が変わるとかはないんだけど、このビデオは初期じゃなきゃ撮れないってことだよね。

介護する家族側だったらそんな行動に怒って悲しむだろうけど、当事者だったら絶対共感する。少なくともワタシは共感した。

一番の怖さ、一番の演技

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だんだん症状が進んで、ボーっとしていることが多くなったアリス。

何気なくパソコンを触っていると、自分の動画を見つけます。決して携帯にメモした質問に答えられなかったわけではなく、本当に単なる偶然で”蝶のフォルダ”を開けてしまう。

画面の向こうでしゃべる女の人が、自分に向かって話しかけている。


あなたが質問に答えられなくなったら、次の段階に進むべき時よ


この指示に優しく微笑んでその通りに実行するアリス。もうこれを自分が撮ったことは忘れてるのが、アリスの表情でわかるのよ!

でもどこのどこに何が入っているのか、指示を覚えられない。2階を往復してやっと辿り着き、その中身が睡眠薬であることも忘れて飲もうとします。

これ悲しいし、怖い・・・。確かに初期の段階でビデオ残すことに共感って言ったけど、症状が悪化して何の疑いもなく飲もうとしてるアリスを見たら、果たして同じことできるか分からなくなってきた・・・。

何が一番怖いのか。醜態をさらけ出すこと?他人に迷惑をかけること?それともその前に自分を葬ろうとすること?

この演技でジュリアン・ムーアが主演女優賞獲ったの納得。

最後に残るのは・・・

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家族の愛情なんですね。やっぱり。

西海岸から末娘リディアが介護の為に同居してくれるけど、肝心なダンナ様は生活費を稼ぐため単身赴任へ。実は夫は面倒見るのがイヤそうな場面もあるので、本当の理由はわからず。

ラスト、もうほとんど喋れないアリスに向けたリディアの朗読がすごく良かった。


トニー・クシュナーの戯曲 「エンジェルズ・イン・アメリカ」より

月を追いかけて、夜間飛行をする。飛行機に乗ってずっと。

高度1万メートルで圏界面に到達。そこは静かな空気の帯。オゾン層の近く、夢見た場所。

機体は圏界面を超え、外縁に達する。そこではオゾン層が、古いガーゼのように破れていて怖かった。

でも私にしか見えないものを見た。

魂が昇ってくる。はるか彼方の地球から、飢えや戦争や疫病で死んだ人々の魂が。

魂はスカイダイバーのように宙に浮かび、手足を曲げてくるくる回っている。そして繋がり合ってクモの巣のような網を作る。

魂はオゾンと同じ分子構造だから。

外縁はそれを吸収して修復される。永遠に失われる物はない。

進歩は痛みを伴う。なくした物を求め、前進を夢見る。

私はそう思う


大好きなターシャ・テューダーの言葉で、「みんな、宇宙の一部なのよ」というのがあるんだけど、それにもピッタリ当てはまって凄く嬉しかった。※ターシャ・テューダー・・・アメリカの絵本作家、ガーデナー

生きとし生けるもの、魂となって宇宙に戻っていく

死が怖くなったとき、心を落ち着かせてくれる言葉です。

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